2012年03月22日

グランドピアノの屋根

今日は「グランドピアノの屋根」の話です。

グランドピアノには大きな蓋が付いています。日本では「屋根」と呼ばれています。
この屋根を開けると、音は屋根に反射して鍵盤に向かって右方向へ飛んでいきます。
通常、屋根は大小2段階、あるいは極小も含めた3段階に開き、音量・響きが変化します。
ピアノが設置されているスペース・環境に応じて、あるいは合奏楽器との音量バランスを考えながら、開き加減を調節します。

さて、下の写真をご覧ください。グランドピアノですが何か違和感を感じませんか??

DSC_0271.JPG

屋根が大きく開いていますが、屋根を支える突き上げ棒が正しい位置よりも外側に開いていて、屋根の支えが不安定になっています。
(突き上げ棒と屋根の角度が直角になっていない)
誤って、屋根を小さく開ける時の受け皿に突き上げ棒先端をセットしてしまったためです。
一般雑誌や新聞広告、通販カタログ等の色々な写真で、このように屋根突き上げ棒が誤った位置にセットされているグランドピアノが写っているのをみかけることがあります。地震が発生したらちょっと危険ですね。
この問題を防ぐために、突き上げ棒が適正角度以上外側に開かないようにストッパーをつけて、誤った受け皿にセットできないようにしてあるモデルが最近は多いようですが、注意してチェックしたい点です。

グランドピアノをご自宅にお持ちの方で、屋根を開けて弾かれている方は意外と少ないようです。
譜面台を使用できるように屋根の手前の部分だけ開けている、、あるいは屋根は完全に閉じて、譜面台は取り出して屋根の上に置いているといケースが多いようです。
「屋根が重くて開閉がたいへん」という理由もあるかもしれませんが、できれば、演奏するときは屋根を開けてピアノの音をよく聴きながら美しく響かせたいものですね。

DSC_0272.JPG
当館スタジオAのピアノ、屋根全開の状態です。

「アンプロムプテュ白馬」のスタジオではほとんどのお客様は屋根は小開きで弾かれていますが、大開きで弾かれる方もおられます。
「長時間練習を続けても耳が疲れない!!」というコメントを多くのお客様からいただいておりますので、皆様お好みの響きで、クリアな音を聴きながら、快適な練習をたっぷりとお楽しみください。
ご利用をお待ちしております。













posted by ピアニストの隠れ家オーナー at 10:49| Comment(0) | ピアノ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月19日

グランドピアノ「ソステヌートペダル」

先日のグランドピアノの左ペダル「ウナコルダ」に続いて今日は中央ペダルについて書きます。

現在のグランドピアノは殆どが3本ペダルになっており、中央のペダルは「ソステヌートペダル」と呼ばれています。(2本ペダルの場合はソステヌートは装備されていません)

「ウナコルダ」は踏み込むと鍵盤が動くので仕組みを理解しやすいのですが、「ソステヌート」の場合、ただ踏み込んだだけでは何の変化も見られないので、機能を理解するのが難しくなってしまうようです。

「ソステヌート」の機能は、選択した鍵盤の音だけが、鍵盤から指を放しても消えずに伸びるというものです。
鍵盤を弾いて音を出し、さらに鍵盤を押したままでペダルを踏みこむと、鍵盤から指を離してもその音だけが鳴り続け、他の音はペダルオフの状態で通常のように(鍵盤を戻すと音が止まる)演奏できるというものです。
先ず鍵盤を弾く、次にペダルを踏み込むという手順で効果が得られます。。

DSC_0267.JPG
低音部のファとドの2音にソステヌート効果をかけた様子です。
鍵盤はスタート位置に戻っていますが、音を止める黒い部品(ダンパー)2つが弦から離れて上がっていて、この2音だけ音が伸びています。


一般的にはソステヌートペダルが使用される機会はとても少ないようですが、演奏会等ではピアニストがこのペダルを巧みに操って素晴らしい響きを紡ぎだしていることがしばしばです。
特に、ドビュッシーの作品等で素晴らしい効果を発揮するという話をよく聞きます。 私には具体的な演奏の細部はわかりませんが、ソステヌートペダル効果で10本の指をより効率的に使うことで豊かな音楽表現が実現するということだと思います。

演奏会等では、ついつい目が鍵盤にいってしまいますが、素晴らしい演奏を聴きながらピアニストの足元に注目してみると、3本のペダルを両足で細かくコントロールしている光景がしばしばみられます。

ピアノのペダル、奥が深いですね。、、、、まだまだ進化するかもしれません。。
皆様、「アンプロムプテュ白馬」で素晴らしい響きをつくりあげてください。



posted by ピアニストの隠れ家オーナー at 16:34| Comment(0) | ピアノ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月17日

グランドピアノのペダル「ウナコルダ」

今日はグランドピアノの左ペダル「ウナコルダ」について書きます。
<ウナコルダとはイタリア語で1本の弦という意味です>

ピアニストが演奏情報をピアノにインプットする手段は、一昨日のブログで触れたように先ずは「鍵盤」、そしてもう一つ「ペダル」があります。
グランドピアノには通常3本のペダルが装備されています。
右ペダル(サスティン or ダンパー)の機能はよく知られていますが、中央と左のペダルについてはご存知ない方も多いようです。
グランドピアノの場合、中央は「ソステヌートペダル」、左は「ウナコルダ」あるいは「シフトペダル」と呼ばれています。

ウナコルダを踏むと鍵盤が右方向に動きます。 これをみてビックリされて「ピアノが壊れてる、、」と勘違いされる方もおられます(笑)
この時、鍵盤だけではなく弦を打つハンマーも一緒に右方向へ動きます。

ピアノの中音部から上には通常一音につき3本の弦が張られています。(低音部は1本〜2本)
ペダルが OFF の時はハンマーはその中央で3本の弦を打ちます。
ペダルを踏み込むとハンマーは右に寄り左の弦は外れて中央と右の2本の弦しか打たれないという状況になります。
そのために、音量が下がるというのがウナコルダの基本原理です。

DSC_0262.JPG
ペダル OFF の状態 ハンマー中央で3本の弦を打っています。

DSC_0263.JPG
ペダル ON の状態 ハンマーが右に移動し、左の弦は、かする程度しか打たれていません。

実際の演奏では、ペダルを ON/OFF だけではなく、数段階に細かく動かすことでもっと多彩な効果を得ることができます。

少し弾き込まれたピアノのハンマーの頂上表面には(中音部では)3本のスジがついています。
ハンマーはフェルト製ですので、弦に接触する場所は打弦の度に少しずつ弦が食い込んで硬くなり、弦の跡がつきます。 これが3本のスジです。

ウナコルダを少しだけ踏むと、ハンマーは僅かに右に寄り、いつも弦を打っているスジの部分ではなく、スジの左の柔らかい部分で弦を打つことになります。
そのため音色が変化し柔らかくなります。 弾き込まれて弦跡が深いピアノではより大きな音色の変化を得ることができます。
ペダルを微妙にコントロールして弦跡の溝の縁で弦を打つようにすれば、チェンバロに似たような音色を出すこともできます。(弦跡がある程度深ければですが、、)

「打たれる弦の数」だけではなく「ハンマー表面のどの位置で弦を打つか」を考えながら細かくペダルを操作をすることで、より多彩な音色を得ることができるわけです。

ウナコルダの効果は「ハンマー頂上のフェルトの状態」、「ピアノの弾き込まれ具合」、「ハンマーのシフト量」、等によりピアノ1台1台で異なります。
演奏会等ではリハーサル中に確認しておきたい重要なポイントですね。

鍵盤やペダルを微妙にコントロールして音色に様々な変化をつけられるグランドピアノ、、、
皆様、「アンプロムプテュ白馬」で色彩豊かな音楽作りを楽しんでみてください。






 
posted by ピアニストの隠れ家オーナー at 12:20| Comment(0) | ピアノ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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