では、調律されたピアノとそうでないピアノはどのように違うのでしょうか?
季節の移り変わり、温湿度の変化等、様々な要因でピアノの調律状態は常に動いて変化しています。
冷暖房、除湿器や加湿器でピアノに優しい環境の維持に努めている当館のピアノでも、毎日少しずつ調律の狂いが発生します。ただ調律の微妙な狂いを一般の方が認識するのは通常は難しいかと思います。
以前ブログに書きました「調律の狂いって?」もご一読ください。
http://impromptus-hakuba.seesaa.net/article/241514737.html
プロの演奏家の方々、音感の鋭い子供さんや、絶対音感をお持ちの方など、調律の微妙な狂いに敏感に反応される方はおられますが、一般的には「調律が狂っているのでは?」と感じられた時には既にかなり狂った状態というケースが多いようです。調律を実施した直後の美しい響きを聞いていただくと「だいぶ狂っていたのですね」と気づかれる方はたくさんおられます。ひどく「ガラガラ」に狂っていた場合、調律後に「響かなくなった、鳴らなくなった !!」と言われる方もおられます。狂った騒々しい響きに耳が慣れてしまったゆえのコメントだと思います。いつも狂ったピアノで弾き続けているとそれが正常と勘違いしてしまうようです。ヒトの耳ってすぐに慣れてしまうようでちょっと恐ろしいですね。特に音感形成期の子供さんなどには気をつけたいポイントです。でも一般のご家庭で毎日調律するなど実際には不可能で、あるレンジの狂いは許容して弾いていただくというのが現実です。
私は調律師という職業柄、小さな調律の狂いでも気になってしまうことがしばしばあります。一種の職業病ですね。
調律されたピアノは美しく伸びやかに自然に響きます。澄んだ音がエネルギーを発しながら「スーッ!!!」っと上向きにまっすぐに飛んでゆくというイメージです。狂ったピアノの音はすぐに「ヘニャ〜ッ」と沈んでピアノ周辺の床にバラバラと落下してしまいます。
「調律されたピアノでの練習」は音楽表現を強力にサポートしてくれるはずです。 普段は封印されてしまっている感性を目覚めさせてくれるかもしれません。
皆様、当館で調律されたピアノの響きを心ゆくまで実感してみてください。お待ちしております。