長野放送局が制作している「知るしん」というローカル番組で長野地区のみの放映だったようですが、とても興味深いものでした。
先月5月4日に6名の死者を出したこの事故は、当初「装備不足で無謀な中高年登山」というニュアンスで報道されました。私も翌5日のブログにその報道を受けて感想を書きましたが、その後いろいろな事実が判明し、極めて厳しい状況下での遭難であったことが分かってきました。この番組はこの事故を改めて検証したものです。
番組内容を簡単に紹介しますと、、キーワードは「疑似好天」と「低体温症」、、、
事故当日の5月4日、、朝5時に雨が止み、9時頃は晴天で気温も上昇、、11時に強風が吹き始め、11時半には暴風雨、、12時には吹雪、、、短時間で気候が激変したようです。
寒冷前線が近づいた時に一時的に好天になることを「疑似好天」というそうですが、通常10分程度の現象なのに例外的に3〜4時間も続いたため皆完全に騙されてしまったようです。
「魔女の微笑み」とも言われるようですが、完全に油断させられたということでしょうか。 同じ場所で山スキーをしていたグループは天候の急変とともに一気にスキーで下って難を逃れたようですが、登山のパーティーはただただ歩き続けるしかなかったようです。
このパーティーは決して軽装だったのではなくある程度の装備は所持していたのですが、それらは使われずザックに入ったまま発見されたとのことです。
雨に濡れただけならばダメージは少ないそうですが、風が吹くと状況はひどく悪化するようです。番組では「遭難者と同じ服装で風速20mの暴風雨」という体験室でデータをとっていましたが、5分間で体温が1度低下するという結果でした。 急な天候の激変に何の対応もできないまま、あっという間に35度以下の低体温症になってしまい凍死という結末を迎えてしまったようです。
北アルプス北部は冬から春にかけて偏西風が吹きっぱなしになる「世界でもまれにみる !! 悪い場所」だと解説の方が言われてました。
この番組をみて、自然はとてつもなく厳しいものだと改めて実感しました。
事故から一カ月半が過ぎ、山の雪は残り少なくなりました。遺体が発見された小蓮華山の現場は先日ブログで紹介した雪形「種蒔き爺さん・婆さん」の近くです。
悲惨な遭難事故が二度と起こらないように祈るばかりです。
犠牲になられた方々のご冥福を心からお祈り致します。
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